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『宇宙兄弟』声優トークショー & JAXA ⼤⻄宇宙⾶⾏⼠とリアルタイム交信


2016年9月、昨年のJAXA油井宇宙飛行士に続き、JAXA大西宇宙飛行士との交信イベントに携わった。「コニカミノルタ“天空”未来プロジェクト2016」と題し、コニカミノルタ株式会社が特別協賛となった。弊社は主催者(天空未来プロジェクト2016実行委員会※)のメンバーとして、イベント企画・運営のみならずJAXAの窓口も担当した。

※天空未来プロジェクト2016実行委員会は、札幌駅総合開発株式会社、株式会社福岡サイエンス&クリエイティブ、コニカミノルタプラネタリウム株式会社、株式会社ジェイエムアンドカンパニーを構成員として組織された

メイン会場はコニカミノルタプラネタリウム“天空”in東京スカイツリータウン®で、過去にJAXA星出宇宙飛行士(2012年)やJAXA若田宇宙飛行士(2013年)との交信イベントも実施しており、いずれも弊社が企画・運営に関与している。タイトルに「天空」を冠する交信イベントはこれで3回目となる。
今回はサテライト会場として札幌のJRタワー、福岡のアクロス福岡に参加いただき、昨年同様、ウェブ会議システムで接続して開催した。

>>イベントの概要は公式サイトを参照

過去のイベントに比べサテライト会場の数は少ないが、今回の目玉はなんといっても、人気テレビアニメ『宇宙兄弟』の声優(ムッタ役の平田広明さん、ヒビト役のKENNさん)をゲストとして迎えることができたことだ。NASAのブルースーツ姿の2人が会場に現れたときは、東京、札幌、福岡の各会場が歓声につつまれ、まさに3会場が一体になった瞬間であった。「まさか東京会場にKENNさんと平田さんがいらっしゃると思わなくて本当に嬉しかった」(東京会場参加者 ※参加者からのコメントは事後アンケートから抜粋。以下同)という方には大きなサプライズだっただろう。

トークショーの模様

ゲストに『宇宙兄弟』の声優を招いてトークショーを実施

大西宇宙飛行士との交信イベントの前に実施されたトークショーは、メイン会場(東京会場)の平田さん、KENNさんが発するISSや宇宙開発に関わる質問に、札幌会場に来場されたJAXA職員の柳川さんが答えるかたちで進行。柳川さんは元有人宇宙技術部長で現在はセキュリティ・情報推進部および広報部の特任担当として活躍中。実は、大西宇宙飛行士が選ばれた2008年の宇宙飛行士候補者選抜には事務局長を担当している。「平田さん、KENNさんの疑問を柳川さんが細かく解説してくださり、よりこれからの開発利用への可能性を感じられた」(札幌会場参加者)、「平田さん、KENNさんお2人とも会場を盛り上げてくださって、緊張感がある中、和やかな雰囲気となりました!また、他会場との接続がスムーズで驚きました!技術の高さ!」(東京会場参加者)、「こんなにも3会場がひとつになって交信できるとは想像もしていなかったので、クロストークがとても楽しくて、ドキドキわくわくの素敵な時間を過ごせました!」(福岡会場参加者)といったコメントを多数いただいた。

トークショーの模様(柳川氏in札幌会場)

トークショーには札幌会場のJAXA柳川さんも参加

トークショーの後は、恒例の交信直前のリハーサル。質問にあたっての注意事項(宇宙飛行士とのやりとりに7秒の間があること)と質問の順番を確認する。今回はリハーサルを平田さん、KENNさんに仕切っていただき、軽妙なやりとりで質問者の緊張は十分ほぐれたよう。「質問の子達を気遣う場面はお2人のお人柄が出ていて大変ほっこり暖かい気持ちになれました」(東京会場参加者)。

いよいよ大西宇宙飛行士との交信タイム。スクリーン上、NASAの管制ルームに切り替わった瞬間の高揚感は、何度経験しても決して慣れることはない。ましてや初めて体験する参加者には相当なインパクトだ。「NASAのキャプコムの座席の表示を見たときは鳥肌が立ちました。そのあとすぐ、大西宇宙飛行士と繋がった際にも、感動のあまり大きな声が出てしまいました。また、7秒のタイムラグが、リアルタイムでISSと繋がっているのだ!という事を実感させてくれました。本当に貴重な経験だと思います」(東京会場参加者)、「とても興奮しました!宇宙と繋がった瞬間の感動は予想以上で画面を見ていることには違いないのに、動画配信で見るのとは大違いのライブ感があってドキドキしました」(福岡会場参加者)。こればかりは、交信イベントの会場にいる者にしか味わえない醍醐味といえよう。

ISSとの交信の模様(東京会場)
ISSとの交信の模様(福岡会場)

大西宇宙飛行士との交信イベントの様子(上:東京会場 下:福岡会場)

質疑応答が開始されると、20分という限られた時間内に何人質問できるかということが裏方の一番の関心事となる。質問者は補欠3名を含む12名。できれば1名でも多く補欠の方まで順番が回ってほしい…。
直前リハで緊張がほぐれたためか、大西宇宙飛行士のテンポ良い応答と相まって、質疑応答はスムーズに進んだ。「質疑応答も予行練習通りすべてスムーズで、お見事でした!そして質疑応答の内容が更に素晴らしかった。大西飛行士の丁寧でわかりやすい説明とサービス精神旺盛の宇宙空間でのパフォーマンスに、とても感動しました」(東京会場参加者)。

結局、補欠1名を含む10名の方が質問できた。声優の平田さん以外の質問者は、Web申込から選定された9名。内訳は女性7名、男性2名で、小学生2名、中学生2名、高校生1名、大学生2名、会社員2名。昨年の油井宇宙飛行士との交信イベント同様、広く一般から質問者を募ったため、小学生・中学生に限定された通常の交信イベントとは異なる質問者の構成となった。また、女性の比率が高いのは平田さん、KENNさんのファンの方の応募の多さを物語るものだ。「様々な年代の方の様々な大西宇宙飛行士への質問が聞けて面白くて興味深いイベントでした!!大西宇宙飛行士も丁寧に返して下さり、宇宙の興味がより湧きました。あんなにわかりやすく解説して下さることにすごく驚きと感動の気持ちでいっぱいになりました。とても良かったです」(東京会場参加者)。

>>交信の模様はNASATVで閲覧可能。英語同時通訳のためリアルの声が聞き取りづらいのは残念

これまで何度か交信イベントを担当したが、マイクでの応答以外は「無重力」が伝わる演出として、マイクを浮かしたり、宙返りをしたりするぐらいであったが、大西宇宙飛行士はさまざまなパフォーマンスを披露してくれた。
「気分転換になるのはどんなことがあるか?」という質問に対しては、あらかじめ用意した寝袋にもぐりこみ、「筋肉を全然使わずにリラックスした状態で体がいるので、どんなに疲れていても、一晩寝るとほんとに元気な状態で起きることができます」と漂ってみたり、「ISSに滞在して得た、新しい気づきは?」という質問には、「ものの管理がどれだけ大変かというのをちょっとお見せしたい」と言って、大きな袋のなかから飛び出したたくさんの緩衝材を空中に漂わせてみたりしてくれた。これまでにない印象深い交信イベントとなった。「まさかのヒューストンを通じてのISS交信とは知らず益々テンションが上がり、質問が出来なくてもさまざまな事が知れて興味深かったです。特に寝袋に入る所や物を収納している梱包材が入っている鞄を開けた時の一瞬で宙に浮いた所は本当に宇宙に、無重力状態の場所にいる人と交信してるんだという実感が湧きました」(東京会場参加者)。
ISSとの交信の模様(寝袋のなかの大西さん)

寝袋に潜り込んで漂ってみせる大西宇宙飛行士

そして、なによりこのイベントを強烈に印象付けたのが、大西宇宙飛行士からのプレゼントだ。実は交信当日になって、JAXA広報部から「軌道上で大西宇宙飛行士が撮影した最新の映像が提供されたので、それを交信後、各会場で上映してほしい」という依頼がはいった。今になってイベントスケジュールに修正がはいることに難色を示す声もあったが、3分の映像を見たイベントの進行責任者が「これは上映するしかない!」というほどの貴重な映像だった。
「ほんとはISSから見た地球の景色などもみなさんにお見せしたいんですけれども、残念ながら時間が限られているので、実は先にその映像を撮影して会場に届けさせていただいてます。ぜひ後でご覧になっていただけるとうれしいです」という大西宇宙飛行士の言葉を受け、交信イベント終了後、各会場にて映像を上映した。
はたして、この映像はイベントのフィナーレを飾るにふさわしいインパクトを与えたようだ。「最後に大西宇宙飛行士が撮って下さった宇宙から見た地球の映像には圧巻でした」(札幌会場参加者)、「大西さんが撮影された地球の映像もとても印象に残るプレゼントになりました」(福岡会場参加者)、「交信の後のISSから見た地球の映像がなによりも最高でした!キューポラに向かうまでの映像が、まるで自分もISSにいるかのように思える映像でめちゃくちゃ感激!何度でも繰り返し見たいので、ぜひ動画をウェブ上にアップして欲しいです」(東京会場参加者)。

▼JAXAの許可を得て、その貴重な映像を当サイトで公開(3分22秒)


運営側からすれば、宇宙飛行士との交信イベントの大きな特徴は、イベントの日程が公式に確定するのは1カ月前というのが、JAXAの公募にエントリーする際に負わされる条件となること。さらにISSの運行状況によって直前になっても変更・中止の可能性は残る。また、交信開始時刻がフィックスされるのはさらに1週間前。多くのマンパワーと資金が費やされるイベントとしては非常識なまでの制約といえよう。
実際、弊社がはじめて交信イベントに携わった古川宇宙飛行士(2011年8月実施)の際は3週間前になって1日前倒しとなった(さらに1週間前に開始時間が1時間遅くなった)。このときはメインとなる東京会場の施設にたまたま1日前も空きがあったということで無事開催ができた。もし空きがなかったらどうなっていたのかと思い返すだけでもゾッとする。また、星出宇宙飛行士(2012年8月実施)では、2週間前になって2時間開始時間が遅れるという事態になり、地方会場では参加者の帰宅時の交通機関の確保が懸念される事態となっている。

さらに大きな特徴としては、このイベントは企業がPR目的で協賛することがNGとなっている点。すなわち、イベントタイトル、リリースやWebサイトでの宇宙飛行士の画像利用、事前告知やイベント会場でのツール、イベント映像データの事後利用において、さまざまな制約が課せられるわけだ。
企画・運営に携わるスタッフがそれぞれの立場で、板挟みという相当な苦労を強いられることは想像にかたくない。
今回もまた、このイベントが成功だったとしたら、それは、そうした心労に耐えていただいた、主催企業の方々、会場スタッフの方々、そして運営スタッフの辛抱と寛容の賜物であろう。

最後に質問者の1人からいただいたコメントを紹介したい。
「質問者として参加していたのでずっと緊張していました。リハーサルで憧れの声優さんたちと言葉を交えた時も、ずっと足が震えていたし、うまく話せなかったりと不安しかなかったです。交信本番で、自分が質問を言い終えた後の7秒間のことを一生忘れないと思います。大西さんも丁寧に質問に答えてくださり、その分かりやすい回答に改めて宇宙飛行士の凄さというか、大西さんの人柄や博識さ、聡明さを感じることができました。交信イベントで宇宙飛行士に質問をするのは幼い頃からの夢でしたが、まさかこの年になって叶うとは思ってもいませんでした。恐らくもう二度とできないだろう貴重な経験をさせていただき、本当に感謝しています。ありがとうございました」

記念撮影in 天空

東京会場での記念撮影