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ハリー彗星

カテゴリー コラム

2012年4月末、渋谷の東急文化会館の跡地に「ヒカリエ」がオープン。小学生の頃、文化会館の8階にあった五島プラネタリウムでハリー彗星を知った。以来、ハリーを赤道近くから肉眼で眺めることが夢になった。

1986年3月、遥か銀河系の彼方からハリーはやって来た。これを逃すと次は2061年。万難を排し、夢のツアーを決行した。成田からアテネに向かい、現地の代理店で格安ラウンドチケット(アテネ>カイロ>タンザニア>アテネ)を購入。まず向かうはカイロ。ここで飛行機を乗り継ぐと同時に、駐カイロ・タンザニア大使館でビザを取得。滞在中になんと、カイロでクーデター勃発。空港は閉鎖され、前途を断たれたが、2日後なんとかカイロ脱出。空路にてタンザニアの首都・ダルエスサラームへ。街中の安ホテルに数日滞在後、近くの港で日本から払い下げされた中古客船“Mapinduzi”(たしか、スワヒリ語で民主主義という意味だったような)に乗り込み一昼夜。目指すはインド洋に浮かぶ島、ザンジバル。

日没後、島全体は真っ暗闇。夜空を見上げれば、まさに満天の星々が煌く。ついにハリーとご対面、のはずだった。ところがどっこい、あまりに星が多すぎて、どれが何やら…。あのような星空を経験したことのない都会育ちの哀しさで、結局、ハリーに再会したのは東急文化会館の五島プラネタリウムだった。

ちなみに、ザンジバルに上陸した翌日、現地の新聞には「Mapinduzi is broken」の記事。帰りの船は、壊れた中古船Mapinduziが豪華客船に思えるほどの木造蒸気船、手を伸ばせば、そこはインド洋。真夜中、波の音を間近に感じながら眠る恐怖感は、いまだ鮮明に憶えている。